Conrad Hotel見学&早野さん夫妻との夕食

前スタジオ中国研修二日目のMAD Architects見学終了後は、MADが北京で建てていて竣工間近の物件であるConrad Hotelの周囲を散歩しました。ミース・ファン・デル・ローエシーグラム・ビルを溶かしたようなファサードが特徴で、建物全体の隙のないプロポーションと、徹底的に考え抜かれてはいるが制御しすぎない曲線により生み出される優美さが印象的でした。

その後の北京ダックの夕食では早野さん夫妻が参加されました。食べ終わった後にはスタジオメンバー全員でテーブルを囲み、早野さんに直接質問する最後のチャンスを生かすべく受講生からは様々な質問が出ました。

西倉くん:MADの建物の形状は分かりやすい、キャッチーなものが多いのはなぜでしょうか?そういうものを意識していますか?
早野さん:設計者の思想をストレートに伝えることのできる形状が優れた形状だと考えている。しかし形状のスタディが分かりやすいものからスタートすることはなく、膨大なスタディ・試行錯誤の結果として分かりやすい形に近づいていくのかもしれない。

林くん:早野さんのように若くして成功を手にされている方は、大学時代にはどのような考え方をして、どのような目標を持って、どのような行動をしていましたか?
早野さん:そもそも自分の今の状態が若い人から見て成功していると捉えられていることが意外であるし、昔も今も同じように勉強を続けてきているだけだ。

川島:早野さんの中国語を学ぶモチベーションはどこから来ますか?仕事上は英語だけで十分な気がしますが。
早野さん:事務所をMAとスタートした時は今と違って中国人の所員しかいなかったから中国語ができないときつかった。今は中国語の古典を中国語で読んで文化を深く理解したいという目標があるから、今でも定期的に語学学校に通っているよ。

中川純さん:早野さんの良い所は「自分は日本人であることを捨てて、アジア人になる」と言い切ったところだと思うが、そこにはどのような思いが込められているか。
早野さん:今の北京を見ればわかるが、巨大な高級マンションや商業ビルのすぐ隣で伝統的な胡同地区で貧しくも豊かな暮らしが共存している状況は、近代ヨーロッパの作り上げた都市計画の概念を覆すものであり、アジアの国全体に西洋とは違う何かを作り上げる文化的な下地、力がある。自分はそこに大きな興味があるし、アジアの都市を考える、建築を考えるということを続けていきたい。

ここに書いたことは早野さんがおっしゃっていたことのほんの一部ですが、この他にもいろいろなお話をして下さり、受講生の大きな刺激になったと思います。有難うございました!