中国研修旅行に向けてのリサーチの方針発表

前回の日本の敷地を対象としたリサーチをさらに深堀りと、中国研修旅行に向けてのリサーチの方針発表を行いました。

まず、B班について



北千住を敷地として、そこでの人(の動き(主に学生)を想定し、そのシークエンスの温度、湿度、照度、風速を測定し、体感・印象の値と比較を行った。その際に印象は、絶対値ではなく、直前の状態、シークエンスに依存するのではないかという仮説のもと実測した。風速に関しては、測定値と印象の差が最も大きかった。
また、学校や公共施設などの主要施設から1分、5分という経路をプロットし、どこの場所からもすぐに行ける場所がどこにあるのか調べることでまちの構造を把握し、設計する敷地のあたりをつけようとした。




中国については、エネルギー事情・モータリゼーション・中国庭園をもとに中華思想について事前リサーチを行った。
エネルギー事情・モータリゼーションとしては近年は1次エネルギー消費でアメリカを抜き、原発も推進していて、その背景に交通手段の問題があり、自転車が多いイメージの中国だが、現在では車中心の社会となっている。
中国庭園は日本の借景のような手法とは異なり、庭園内だけで1つの世界観を作り出そうとしている。


講評
測定する際に、その値がどのような意味を持っているか位置づけられる必要があるのではないか。
その日たまたまなのか、その時期のその場所の一般的な傾向なのか、マクロな視点、下調べが不足している。
道のプロットについては、試みとしては面白いが、道ごとの性質を無視して距離だけで評価する意図はどこにあるのか。
中国は車中心の社会、歩行者が虐げられている。車の建物への寄り付き方が全然違う。
中国庭園の話は住宅の作り方にも共通したことが言える。セキュリティの取り方も日本と異なる。


次にC班について。



北千住を敷地とし、写真を用いて、その画像に影、サーモグラフィをもとに温熱環境、湿気、建物のひだ、パブリック度合、マテリアル、寸法を重ねていき分析した。合計9つの場所について分析。
影、温熱環境、湿気まで重ねてみて、気持ちよかった神社のパーゴラのところは、ムラがより多く、外部環境についてはムラがたくさんある方が快適なのではないかと思った。



中国事前リサーチでは、都市史・気候などについて調べた。
北京の気候は日本より四季がはっきりしており、昼夜の温度差が大きい。黄砂の問題が大きい。
緑被率は北京オリンピックの際の施策により、東京より高い。


講評
この分析の手法は面白いが、価値判断や仮説がないように思える。9枚の写真に対して、それぞれ豊かさや物足りなさを感じたのか。また、この分析の手法はアレグザンダーのパタンランゲージを参照すべき。
1つ1つの要素をもう少し定量的に数値に落としてみる必要があるのではないか。例えば、湿度であれば、空気線図にプロットしてみて、環境工学的な快適域と比較してみるとか、SET*を算出してみるとか。
この多様なものがどれくらいの距離で存在いてほしいかということを考えることは都市計画的な話につながる。都市の緑地の意義など。
シークエンス班と同様に、都市構造がどのように形成されてきたのか、マクロ的なリサーチが必要なのではないか。

北京の方が緑被率が高いが、その樹種が綿を出して問題になっており、樹種まで調べてみるべきではないか。

最後にA班について


品川を敷地として、プログラム・表面積・人口・日射環境・風環境についてリサーチもしくはシミュレーションし、それぞれのパラメータを重ね合わせて解析した。
日射環境と風環境を重ね合わせた図の評価において、
夏は色の濃い部分ほど、影ができる時間が長く、風が強いので好ましい。冬は逆となる。


講評
1つ1つのパラメータの分析が浅いため、結論が漠然としている。
風や日射にしても閾値のようなものを設定しないと評価が難しいのでないか。
表面積というパラメータの扱いは外部空間、内部空間、どちらの話をしたいのか?
どの地域にもいえることだが、夜の姿をみないとその場所の全容は見えてこない。
夜間人口を調べることで多少は把握することができる。
プログラムについても用途地域を調べれば1つ1つの建物について調べなくてもある程度把握できる。

その後、各班に分かれて、中国研修旅行について具体的な話し合いをしました。


今回は時間もなく、班も組み替えた中でのリサーチで、講評はなかなか手厳しかったですが、
扱っている内容は高度で、とても可能性を感じるものでした。

今後はコンセプト発表や、中国研修旅行と、グループでのリサーチは大詰め、いよいよ個人課題へと移っていきます。引き続きがんばってください。