中間講評前選抜

来週の中間講評に向けて、選抜を行いました。
15人のうち進めるのは上位5人。
提出超く前には必死の作業が繰り広げられていました。

今回は乾様、川島様、末光様、中川様、羽鳥様、前先生を迎えての発表です。
まずは、前先生から改めて課題趣旨の説明がありました。

ガラス建築⇒膨大エネルギー消費が3.11以降問題
中国でも膨大なエネルギー。
建築と人間の関係、空調の今後のあり方を考える。ある程度の快適性を確保する。
環境技術は設計において足かせになりがちだが、風・熱をスタディしたら新しい形が生まれるのではないか。
本日の提案の中で環境体感の経験が生かされていることを期待。



学生発表
パネルA1以上、模型A2以下を準備し、各人1分でプレゼンを行い、簡単な質疑応答をしました。



児玉くん
選択性をもつ建築。自分がどのようなところにいたいかが選べる。ファサードでの熱の利用状況の可視化。品川が敷地。

川島範久さん「なんで蓄熱するの? ヒートアイランドでは不利では?」
こだま「排熱の蓄熱(昼間のヒートアイランドの低減)と夜間放射冷却(ナイトパージ)の利用。」



米澤くん
地球の仕組みを応用。球状の空間。品川か北京。 空気の流れを考えることで、形が変化していくような建築を考えている。

乾さん「これを建築にするにはどうするのか?建築の規模で地球を再現するということに対して、説得力を持たせるのはどうしたらいいのか?」
米澤「可能な限りできることをやる」
乾さん「限定しちゃうと、できるものも限界ができちゃうのでは?とてつもないでかい建築の提案でもOKか?」
川島さん「どの程度のスケールになると、これができるのかが知りたい。原さんの500mキューブとか。」
前先生「各敷地に同じ木を置いた時に、どういう違いが出るのか?」



林くん
地下空間。北京での大規模開発へのアンチテーゼ。ヤオトンの地下洞窟をつくる。

乾さん「地下が気持ちいいのは、ある比率でできているから。」
中川さん「形・空間で空調機を使わないでもいいという手法に繋がるだろうか」



吉富くん
プラグインストリート バッファとしてのアーケード、それに開く建物 24時間エネルギーを使い続けているコンビニを想定。

川島範久さん「アーケードとコンビニを開くとは?ガラスを取っ払うということか。屋根の素材は?」



田中さん
北千住。荒川でのシークエンス体験をよりよくする提案。堤防での住宅街と河川敷の断絶を解決する建築。

前「堤防本来の機能を果たして、それがどう改善されるかを示さないといけない」



石綿さん
品川下水処理場を敷地とした。再開発計画に対するカウンターパートとしての提案

羽鳥さん「人工地盤は何でできているのか」 石綿「気化熱などを利用したい。」 石綿「塞いで人工地盤を作っていることでいい景観ができているのは踏襲したい。」 末光さん「もともともっと高密なところじゃなくていいのか」 石綿「そもそも移動できる施設じゃないからここでやった」
川島さん「匂いとかの問題は?」 石綿「ちゃんとふたをする」 羽鳥さん「ふたをするっていうのはあまり関係がなくて、結局ヒートソースがこれまでと違うだけで上の形に依存しないのでは」



清野くん
品川の運河を敷地とした。ビル群の裏側にある川のまわりをより気持ちよく利用できるように、裏庭として機能させる

乾さん「そもそも空調対象がないのでは?」
清野「本来では空調する必要がある空間もつくる」
末光さん「堤防とはもっとシビアなものでは?ほのぼのしすぎ?」 前先生「堤防と建築の対比が必要では」



西倉くん
線によって構成される、密度の設計。成城を敷地とする。線の密度の設定によってさまざまな風・光・熱環境をつくることができる。断面で点に見える建築。

末光さん「素材は?」
西倉「熱伝導率、比熱、放射率の違いを考えていきたい」
末光さん「保水性なども検討したら気持ちよいのができそう」



紺野さん
フラクタル図形から人工的な木陰を作る。成城のバス停をターゲットとする。閑静だが単調な住宅街に価値をもたらす。

羽鳥さん「本物の木を植えるのと何が違うの?」
紺野「育つのに時間がかかったり、手間がかかったり、簡単でないと思う。」
わざわざやることか?
紺野「構造としても活用したい。フラクタルな立体をいろいろなスケールで活用して、いろいろな用途を持たせたい。」



北潟くん
オフィスでのピクニック的な体験。品川でのサテライトオフィスの提案。

乾さん「結局は都市にある地形・環境を生かして外でも生活するということか?」
北潟「そのようなイメージです」
末光さん「サテライトオフィスの意味は?」
北潟「基盤となるオフィスがあって、たまに気分転換にでてくるようなイメージ」
羽鳥さん「品川は下水処理場がくさかったりとかするし、物事の決定要因・与条件をもっと掘り下げることが必要」
前先生「やりたいことはミクロなことだが、見せ方がマクロ的になってしまっている」



藤間くん
ノマドオフィスビルの提案。PCを地下に置くことで、熱的に有利になり執務空間もフリーになる。シャフトを通じて熱が搬送される。季節ごとにフロアや平面的にいろいろな場所ができる

末光さん「そもそもペリメータとインテリアの関係があるし、自然にオフィスでできているムラをどう考えるか」
川島さん「スケールの設定が重要」
羽鳥さん「外部の環境も合わせて解決するような提案がいいかと。」



王さん
北京が敷地。黄砂を飲み込む建築。砂が溜まりやすい場所を調べた都市の構成に関するリサーチ結果を応用。

末光さん・乾さん「原理がわからない」
王「低い場所、壁際は風が弱く砂が溜まりやすいなどのリサーチで導いた。」
羽鳥さん・末光さん「サイクロン掃除機のように渦をつくるなどが検証できれば良い。」
末光さん「溜まった砂は捨てなくていいの?」
王「工事などの砂が来ているだけなので、水をあげればまた土に戻る。」


小原くん
日射・日陰に注目。建物の凹凸が作り出す影環境について考える。形とともに、影のできる時間についても考察。

羽鳥さん「日射の状況がどうだとどういう効果があるかを設定しているか?」
小原「影を細かく見て、マテリアル」
乾さん「ただ凸凹にするだけ?」
末光さん「凸凹と影の関係は?影に基づくプランニング以上のことを言ったほうがいい」


冨山くん
インターシティ。人のスケールを超えた親しみづらい空間を、ミクロな操作を行う。ルーバーでの操作。

末光さん「この手の提案は、ふわーっとしているものが多い。どういう目的・効果があってっていうのを説明しないといけない」



松田くん
肥大化した建築は過酷な屋外環境を克服するためにいろいろやってきた。大きい規模のほうが、環境のムラができやすい。品川近郊の公園に大きな立体公園を建てる。

末光さん・中川さん・川島さん「これはただの公園なのか?スケールは?」



全員の発表の後に、投票を行いました。
学生とTAは1票、講師の方は3票を投票し、5人を選出しました。

投票の結果、西倉くん、王さん、吉富くん、小原くん、米澤くんの5人が中間講評発表メンバーに選ばれました!


講師総評

末光さん
「提案が貧弱。中間講評に向けてより案を練らないと。環境指向が強すぎる。西倉君、小原くんのように建築に引き込んでいる方が魅力的。建築と都市の関係が統合的にデザインできる可能性がある。フォリーだけのようなものだと、リアリティが見出しづらい」

乾さん
「建築空間と都市空間を混同している人が多い。どちらを狙うか明快に。選抜者はそれを意識していた。王さんは都市空間を意識していた。今後アウトプットを充実させてほしい」

中川さん
「1分のプレゼンで伝わる人が非常に少ない。細かすぎるパネルが多かった。1枚のわかりやすい絵があるといい。吉冨くんのささやかな操作で町並みが変わる点に好印象。形を変えなくてもできる提案ではなく、物理現象にまで踏み込んで検証するスタディを」

川島さん
「明確なテーマを設定しているかどうか、が決定要因。歴史ある場で環境をどう関係付けるか挑戦していた。形状・性能は環境面、テクスチャは歴史面でアプローチしている点がよかった。吉冨くんはまだ既視感がある。今回選にもれた人は、都市の面白い発見どまり。建築に落とし込まねば。ムラを作ろうとする人は何のためのムラなのか、目的を持つべし。問題意識を明確に!!そして、オルタナティブの提案を!!」

羽鳥さん
「結果からプレゼンすべし。自分の考えにプライオリティをつけて日ごろより話すよう心がける。問題提起型か、問題解決型か。あまり問題は見られなくとも構成を変えることで新しいものが生まれるのではないかという仮説に基づいた案(西倉君)は前者の例。リサーチが非空調にこだわりすぎていた非空調ばかりで、高解像度なモチベーションのリサーチがない。もう一度リサーチに戻ってもいいのでは。問題提起型の人は、特にモチベーションの設定を意識してほしい(西倉、米澤)。」

前先生
「4月以来のリサーチが反映されていない。北京は思い出だけになるんでなく、設計に生かしてほしい。形にチャレンジしている人を押したい。中間講評以降伸びる余地がほしい。」



多くの先生方がおっしゃっていましたが、本当に、伝わりやすいプレゼンを心がけるといいと思います。
今回の発表はほとんどの人が何に疑問を持ち、どう解決していきたいのか1分で理解できませんでした。
残りわずか、中間に向けて頑張って行きましょう!


追記:
スタジオ後、TAの高瀬さんバースデーサプライズがありました。
乾さんがケーキを渡してくださいましたw
高瀬さん、おめでとうございました!!