全体中間講評


全体中間講評においては選抜者5人の発表を行いました。


以下が概要になります。


* * *


○課題説明

・前先生:課題趣旨の説明
非空調空間の設計。建築の形態の自由さゆえの膨大な消費エネルギーを見直す。
新しい建築の形を環境の面から見つけることを考える。


・TA茅野くん:今までのリサーチ課題の取り組み・位置づけについて
課題においては環境的なものと計画的なものの融合を考えたい。
そこで、建築空間だけでなく、既存の都市空間からヒントを得るため北京で調査を行った。
そこの発見は、ミクロな環境的な差分。面的・線的・点的なもの。これらが、これから案を強化するものとして機能していくと考えている。


○発表内容

・王さん
黄砂の深刻な問題から、風の渦により黄砂を飲み込む建築を考える。
空気を浄化し、冷却する機能をもつ。
胡同への架け橋となり、四合院に溶け込むようなものを考えたい。


・小原くん
都市の折り方を考える。
日射環境と建物のファサードのミスマッチを感じている。
夏に影になる場所、冬に日向になる場所などを考えることで、人が日射環境を享受していくことを考える。


・西倉くん
ソリッドな建築への疑問から、質量のデザインを考える
成城においては中央に丘をつくり周囲に様々な公共施設を配置する。
様々な長さ・太さを持つ線によって、人の肌にあった公共性を提案する。


・吉富くん
北千住においてアーケード空間の設計を行う。
植物をからませることで、流れ込む風をデザインする。
既存の建物におけるアクティビティの変化を誘発するようなものとなる。


・米澤くん
砂漠や熱帯雨林といった様々な環境の空間を作ることを考える。
ニュートラルな形である球をまず起点とし、それは例えば、日射環境での最大限のムラを生むといった意味がある。
球がそれぞれの場所になじんだ形態に変化していく。


○講評

隈先生:自然という曖昧なものをのより、具体的なテーマ設定があると逆に自由度が出てきて面白いものになっている。
王さんのはもっとパースにあるように四合院にもっと絡むようなものが良いのではないか。
西倉くんのはもっと周囲とうまくつないでいければ面白いものになると思う。

太田先生:米澤くんのについて、フラーは穴がないが、どういうときに削るのか?
米澤くん:日射による熱の単純な循環に変化を持たせる
西出先生:米澤くんは球という形から考えているが、逆に熱の循環から最適な形を生み出すというアプローチの方法はないか?
米澤くん:できる限りで削るという作業からそれぞれの場所にあった形を見つけることを考えている。
太田先生:フラーができなかったことの実現として、崩し方、削り方の現代的なやり方を探ってみたら良いのではないか。

石川先生:吉富くんのについて、温熱環境を設計するとき、操作する具体的な要素・変数は何になるのか?
吉富くん:放射を主に考えていて、日射遮蔽と組み合わせて考えていきたい。
石川先生:温熱環境以外の要素との融合はどうなるのか?従来の商店街の問題との関わりは?
太田先生:日射遮蔽の話だけでなく、微気候を考えるべき。ストリートだけではダメである。カーンのキンベル美術館の、水の気化熱によるクーリングなど、周囲のビルとの組み合わせからの微気候の形成を考えてみては。

石川先生:王さんはどういう空間をつくろうとしているのか?
王さん:黄砂を飲み込むもの考えている
石川先生:心地よい、詩的な空間ではないということですね。
王さん:黄砂を飲み込む一方で、広場も設計していくことを考えている。
石川先生:犠牲になる空間と良い空間の2つがあるということなのか?砂だけで言えば、防砂林で良いのではないか?
西出先生:形態だけでなく、もっと効率的に黄砂をとるような仕組みを考えたらよいのではないか?
末光様:水がある、木をはやす仕組みなど、ポジティブな仕組みをもっと提案した方が良かった。

川添さん:西倉くんは何をするのか?
西倉くん:公共空間の50年後のあるべき姿まで考えたい。
川添さん:質量とはどういうことか?
西倉くん:ソリッドはデザインしきれていないのではないかと思っている。0か1でなく、その間まで考えたい。
川添さん:わからない…。
西倉くん:プログラム的なところは詰め切れていない。
太田先生:プログラム云々というより、建築のシステム自体を提案したらどうか。
西倉くん:これからだが、シミュレーションをある程度条件を抽象化してながらやってみる。


* * *


全体中間講評では、生産的なアドバイスを沢山いただけたように思います。
この機会に自分の案を少し引いて見てみて、本当にやりたいことは何なのかを見直し、案をさらに強固にしていってほしいと思います。
発表者の方々は本当にお疲れ様でした。


今回発表できなかった人を含め、前スタ受講生のみなさんには、今まで以上の勢いでもってあと一か月突っ走ってほしいと思います!
木曜の前スタジオ中間講評を楽しみにしています!!