中間講評後エスキス

全体中間講評に後は、前スタ講師の方々がエスキスをしてくださいました。
以下が概要です。


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・王さん


羽鳥様(以下H):前の模型の方が良かった。もっと周囲に伸びた、ふわっとしたもの。
末光様(以下S):それと、プレゼンで言ったことがネガティブな要素のみで、たまったもののポジティブな点を述べた方が良かった。ストーリーの作り方は良かった。
H:砂の影響の違いを明確にするべきだった。下はどういう空間なのか?
S:美術館の空間をおそらく誰も理解していなかった。

中川純様(以下N):砂を溜めこんだものをどのように美しい空間にしていくかが勝負。アフターの姿を美しいことが最重要で、黄砂を取るのはあくまでもプロセスである。

S:砂をためるディテールにしないと。今のHPシェルでは弱い。美しくたまるありかたを設計すること。形とシミュレーションの関係を探っていくこと。
H:今のものは本当に溜まるかたちか?砂をより受け止めるあり方は違うかもしれない。

N:汚染物の拡散を防ぐシミュレーションを試してみてはどうか。

王:足の長さの調整でデザインすることを考えている。
S:これありきの設計でなく、一回フラットにデザインしてみたら良いのではないか?
N:意図していない形をみつけ、崩していくこと。
S:流れを落とす形状とは何か、突き詰めてみてはどうか。
H:砂と付き合ってきた地域をもっと見た方が良い。バードギールなど。

N:中国の四合院にも砂を受け流す機能があるのではないか?
王:調べたら文化の影響が強かった。環境の面に関しては庇など。
N;きちんと可視化していないだけなので、ヒントはあるはず。
例えば県庁舎(品川区役所)などは丘の上にあったりする、シミュレーションしてみると良い風が吹くのがわかる。キーワードとしている竜にもヒントがあるはず。
 
H;風水は経験値からできていて、見えない根拠があるとも言える。
N:そういうものを根拠を確かめながら考えていくのが大事である。

H:美術館をつくるとすると、ほんとに個の形で良いのか?地道な作業をちゃんとするのが基本的な前スタの姿勢である。

N:一度始めに戻ること。自分の案を捨てることも大事である。



・米澤くん


H:実際の直径は?
米澤:まだスタディ中である。場所によって変わるものになるかもしれない。
H:風の振る舞いなど、実際にそうなるのかはまだ怪しい。

N:周辺地域にどうばらまくか?周辺地域が良くならないといけない。
H:敷地はどこなのか?
S:そもそも、敷地を決めることは大事なのか?
米澤:周囲の環境を考慮しながら、削り方を考えていく。どこにでも適用可能な仕組み。

S:今日の食いつきからすると完全な人工環境の方が良いのではないか?
H:なにか違和感がある。球なのに普通のスラブがあるから?フラーを超えられるのか?
詩的な感じで終わってはもったいない
S:パースの絵で終わってほしくない。技術的な提案まで持っていくべきである。熱・風のシミュレーションで実験していく。
変に建築にこだわるのはどうなのか?敷地はなしで良いのではないか?

N;球であることの環境的な利点は?まずシミュレーションを回してみて何ができるか確かめてみる必要がある。

S;地球に対してどのようなスケールかが大事。500mは良いスケールなのか?
H:気候ができるスケールは何か?スケール感をコントロールすることで、空間として自然に機能するような環境をつくること。そして、そこを「工学的に」やること。

S:仮説は仮説として置いておきながら、詰めるところは詰めることが大事である。

H:普通の環境をつくるなら普通の形でいい。ある意味ばかばかしい環境をつくったって良い。あほらしさを工学的に成立させる方が面白い。

(N:地球上で一番大きい建築はなんだろう…?)

S:スラブの穴の開け方が大事になってくる。また、実際はペリメータゾーンと内部の方との違いになるのではないか。

S:熱容量の担保の仕方が重要になってくる。中心部に熱容量を持つものをもたせるとか。

H:仕事をするマテリアルをどう入れるか?エキセントリックに水銀など入れるか?

S:熱容量の設定がかなり大事

H:空気粒子にあったものを設定しなければいけない。水だと軽すぎる、土だと重過ぎる。
つくりたい気候の設定を説得力をもって述べること。
また、どうやって建つか?海に浮かべるには有利だが、地面に置くには不利である。



・小原くん


S:なんで北京にしたのか?
小原:日影マスタープランをつくることを考えた。何を固定し、何を変数にするのか?
北京のずんぐりした建築の建つところに注目した。
S:ずんぐりしたものが良いのか?品川の普通のビルの建て方に対する提案なのか?意識的になった方がよい。
小原:日向が移動してくパターン、日影が移動していくパターンを考えている。

H:この案には逆説がない。ガラスのパビリオンが影の中にあったらどうなるか。普通の美術館ではできないことができる、など。
この提案により何が変わるかということを示さなければいけない。

S:何に対するカウンタープロポーザルなのか?提案が建築で閉じていると、大掛かりなことをやっているが地味に見える。どういうことが起きるのか?

H:やりたいことを街区スケールでやるべきなのではないか。
プレゼンのはじめの影の話と提案には乖離がある。

H:メタボリズムの発想はもう古い。悪い状況を逆手にとるような与え方をするべき。スケールを変えながら操作していくなど。
S:操作した後のものは美しく、ハッピーでなければいけない。仮説は何か?

前先生(以下M):直接光のことだけ言っているが、実際は天空光の影響も大きい。そこまで論じきるのは大変である。
H:問題抽出が甘く、論が飛躍しすぎている。
S:しかし、先週よりは良くなった。
建物の凹凸は内部空間もつくっているため、そこまで提案するべきである。
プログラムを美術館とするのは良いかもしれない。

H:発想を還元して、普遍的なアイデアにしていかなければいけない。影と言っているが、根幹はそこではないはず。そこに起こるアクティビティとの関連など、もっとメタに考えなければいけない。影を考えることで副次的に生まれるものを常に考えていくべき。

N:光影を扱うことは時間軸を扱うこと。それがないと途端につまらなくなる。
H:時間によって内部の環境・プログラムが変わるなど、非空調であることの効果は?
N:動的であることの効果は、非空調空間のキーワードでもある。
影があることに自分なりの解釈を与えること。
H:空間が動くことの設計である。
N:屋根が動くとかが必要になるかもしれない



吉富くん


N:案の良さが伝わらなかった
H:そもそもどういう風が流れるか?

H:夏だけでなく、冬もやらないといけない。プログラムは地味である分、微気候を高性能に。見た目の変化に通じないと、緑化して終わりになってしまう。
吉富:本当に見せたいのは周囲の建物の空調領域が減ることである。

M:周辺の建物のエネルギーをまかなうという視点もあるのでは?
また、夏と冬で衣替えするものを考えるのか?ただ、相当練らないとより良いものにならなそう。

S:提案によって建築の間取りや空間の性質が全く変わるなど、メリットを生かし切らないといけない。
N:透明な壁の解釈を環境的に解くこと。
S:現状ではよくあるものに見えて驚きがない。ガラスを取るだけに見えてしまう。
M:ガラスの意味を明確にする、透明とは何なのか?何に対するカウンタープロポーザルか?
H:すごくリアリティがあるようで、本当に良いのかという疑問が残る。問題設定が足りない。

S:大前提を見直すことが大事。やっていることの仮説の意味は?
M:単純性、伝わりやすさは大事なので、複雑になりすぎてもいけない。
H:そもそもの商店街の問題は何なのか?そこが解けないと現実に立ち向かっているように見えない。

N:通りがどのように見えるかの絵が必要、そこがまだ誰にも見えていない。
H:そこは絵の説得力。

N:本当の意味での透明はどういうことか?空調領域を減らすというビジョン、それによって雰囲気まで良くなるということ。どういう希望、夢を持っていくのか?
H:海外には北千住にようなところはない。

S:とりあえず絵をかいて、飛距離がなければ敷地を変えた方が良い。変化はドラスティックであるべきである。
H:ビジュアルだけでなく、エネルギーなどの要素も大事。社会に対する影響を示すこと。
個人的には断熱材の影響よりすごいなどと根拠づけられたら面白い。
M:これがいいねと思ってもらえるには、良い絵も必要だが、プログラム論も大事。



・西倉くん


S:最終的な模型で評価は天と地の差だろう。
H:3Dプリンターが買えないか?
N:樹脂系の3Dプリンターが良い、13万くらい。

S:案のリアリティーを最終的には問われる。部分模型を作ると良いのではないか。

H:平面をCADで書いたらダメ。
また、デザインはグリッドなのか。

N:模型でA+かB−か変わる

H:いろんな面でグラデーションがあることの良さは?現在の建築環境と何が違うのか?仮説はないのか?

S:基本的には拡散光の操作となるのではないか。

S:微分化されたものの環境的な作用を、ビジュアルで、または数字的に落とし込むことが重要。感覚的には共感されていた。

M:プロフラムはもはやない方が良いのではないか?イメージはお祭り広場、バイオスフィア―的な感じ。
S:建築のかちっとしたプログラムははまらない、広場でも良い?

M:境界をあいまいにすることの極致をつくること。
プログラムは「テナント募集中」で良い笑
何を実現するかの感覚が大事である。新たな自然環境を生み出すこと。

H:プログラムとしてスタジアムも合うのではないか。雨のコントロールも行える。
S:ある種の集会施設ということ。
H:または、幼稚園を入れるとか。こどもにはなるべく外で遊んでほしいと思う。

S:デザインレビューの「やわらかたまり」のような模型の良さを出したい

N:建築が帽子になっても良い。建築以外への転用。

M:屋外でも屋内でもない建築空間を考えること。
N:それは非空調空間の在り方になりうる

H:素材の例としてエアロジェルが挙げられるが、もろい。
S:うまくやれば構造のアイデアになりうる。最小限の物質で最大限の気積を持つ構造。

M:グリッドではないことは確か。簡単なプログラムを持つある種のルールを利用するなど。たとえばタンポポの増殖。

N:プログラムは「面積・温熱環境・値段」で良い。

M:下で起きることのイレギュラーさが重要である。


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発表後のエスキスでは、以上のように沢山のアドバイスをいただきました。


また、エスキス後にご飯を食べに行きましたが、そこでも活発な議論が交わされました。



プレゼンしきれなかったところまで汲み取ってくださっている講師の方々のエスキスでは、案の根幹・組み立て方などについて、これからの課題がより明確に見えたのではないかと思います。
(かなりの量のアドバイスで、咀嚼するにも大変だと思いますが…)


羽鳥様、末光様、中川純様、前先生、お忙しい中本当にありがとうございました。